昆布の生態や育ち方について知りたい人
「昆布ってどうやって育っているのかわからない。いろんな種類の昆布があるけど、そもそもどうやって育っているのか知りたい。生態についても知りたい。天然モノと養殖モノで育ち方で違いがあるなら知りたい。」
こういった疑問にお答えします!
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- 昆布の生態について
- 昆布の構造について
- 天然モノの真昆布の育ち方について
- 養殖モノの真昆布の育ち方について
- 天然モノと養殖モノの昆布の違いがわかる
- 生産量・価格の差がわかる
- 養殖モノと天然モノの育ち方の違いがわかる
こんにちは!こんぶ先生です。
この記事を書いている僕は、昆布作業歴が25年ほどで「昆布の生産量日本一」の町である函館(南茅部地区)に現住で、昆布の作業をしつつもサイトを運営しています。
興味があれば、こちらの「こんぶ先生のプロフィール(@konbulog)」もチェックしてみてください。
昆布に関しての素朴な疑問や、不安な方はぜひ記事をご覧ください。
※記事は3分くらいで読み終わります。深掘りした解説などは、関連記事にてご確認ください。
目次
昆布の生態について
昆布というのは、秋口に昆布のタネとなる遊走子(ゆうそうし)と呼ばれる胞子(ほうし)をだし、それが海底の岩などに付着することで、根を張り、成長していきます。
地上の植物であれば、根から栄養分や水分を吸い上げるのですが、昆布の場合は、根はあくまでしがみつくためのモノであり、栄養分を吸い上げる役割はもっておりません。
ですので、根からではなく、葉の部分から栄養分を吸収し、光合成を繰り返し成長していく、という生態なのです。
- ①根っこ(ねっこ)
- ②茎(くき)
- ③葉(は)
昆布の構造について
昆布の構造は、大きく3つに分けられます!
①昆布の根っこの部分について
昆布には根があり、植物で表すと、土の中にある部分のことです。
植物であれば、根から栄養分や水分を吸収し、成長に不可欠の部分といえます。
ですが、昆布の根っこは、栄養分や水分を吸収するという機能はありません。
役割としては、その場所から移動しないように、ガッチリとしがみつくのが一番の役割であり、唯一の役割です。
食用として用いられることはほとんどなく、海底であればその部分だけ残して、茎から葉の部分だけを採集して商品化する形となります。
②昆布の茎(くき)の部分について
昆布の一番細い部分となるのが茎(くき)です。植物で表すと、土から出ている茎・幹(くき・みき)の部分です。
植物であれば、一番太い部分であり、そこから枝分かれしていく大元の部分です。
昆布の茎(くき)は、成長とともに長くなりますが、葉の方が大きくなるため、植物ほど重要な役割はもっておりません。
ですが、この茎の部分にはアルギン酸が最も多く含まれており、ネバネバ要素が強い部位となります。
昆布水やダシを取るなら、この茎(くき)の部分が一番強いダシがとれることを意味しております。
ですが、市販されている商品の多くが「根昆布(ねこんぶ)」という名前で販売されており、本来は茎(くき)なのですが、イメージしやすい言葉を利用しているのが現状です。
乾燥する際に、この茎の部分に干すためのピンをつけるため、歯型のような跡が残っているのが特徴としてあります。
函館(南茅部)産の真昆布であれば、天然養殖関係なく全ての根昆布に歯型がついているのが特徴となります。
③昆布の葉(は)の部分について
昆布として一番認知されている部分であり、だし用・食べるように用いられているのが葉の部分となります。植物で表すと、光合成をする葉っぱの部分です。
昆布も「光合成をする」という意味では、同じ役割を持っていますが、この葉の部分から栄養分や水分などを吸収する役割も持っています。
私たちがメインでダシを取る部分であり、食用としても食べられている部分が、昆布の成長には欠かせない役割を持っているのです。
ただし、勘違いしやすいポイントとして、昆布は葉の先端部が古いものであるということ。
つまり茎に近い部分から新しく、茎から遠ければ遠いほど古いということなのです。
市販されている昆布は、茎に近いほど高級であり、良質のダシがとれます。
南茅部地区では、1番切り(いちばんぎり:茎に一番近い部分)・2番切り(にばんぎり:一番切りの次の部分)・3番切り(さんばんぎり:2番切りの次の部分)という形で切り分けします。
真昆布の育ち方(天然モノ・養殖モノ)について
市販されている昆布には、天然モノと養殖モノがあります。
その違いやメリット・デメリットについては、下記の記事にて書いておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
天然モノの真昆布の育ち方について
天然モノの真昆布については、海中に根っこがあり、海面に向かって成長します。
形としては、植物と同様な育ち方といえます。
そして、浅瀬に自生しているため、昆布全体に太陽の光があたります。
そのため、天然モノの昆布は頭から尻尾までの全てで身が厚く、どの部位からも濃厚なダシがとれます。
商品価値としては、根に近い部分が価値は高いですが、尻尾の部分だからといってもダシが出ない、ということはありません。
ただし浅瀬であるため、長くても約2~3メートルまでしか育ちません。
養殖モノの真昆布の育ち方について
養殖モノの真昆布については、天然モノとは反対で、海面側に根っこである頭の部分があり、海底に向かって成長します。
さらに、養殖の施設は沖合いに設置されているため、海底までが結構深いです。そのため、根の部分には太陽がよくあたり、尻尾の方は太陽が当たりにくいため、実入りも海面に近い方が厚くなります。
天然昆布よりも長くなるため、3~4メートルくらいまで育つこともあります。
太陽の光が根っこである頭の部分に強く当たるため、頭の部分の身は厚く、濃厚なダシがとれます。
尻尾の方に行くにつれて、身は薄くなり、ダシのでる量も少なくなってきます。
ですので、ダシ用として販売されている昆布のほとんどが、根に最も近い部位(一番切り)となります。
つまり養殖昆布であれば、根に近い部分は若い上に濃厚なダシが取れるということです。
尻尾の部分になると古くなりますが、それでも伸びる前はしっかりと太陽が当たっていたので、根に近い部分よりは薄くなりますが、それでも十分なダシがとれます。
まとめ
昆布の生態について
昆布は海中で胞子を飛ばすことで、海底の岩などに付着し根を張り、成長します。
- ①根っこ(ねっこ)
- ②茎(くき)
- ③葉(は)
根は、水分や養分を吸い上げるという機能はなく、ただ抜けないようにしがみついているだけ。
茎は、成長とともに長くなったり、太くなったりします。昆布のだしが一番とれる部位でもあります。商品名としては「根昆布」という名前で商品化されていますが、根ではなく茎である。
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葉は、植物の葉と同じ光合成をする役割を持っており、栄養分や水分を吸収する役割を持っています。
茎に近い部分ほど新しく、尻尾と呼ばれる先端の部分は初期の頃の葉であり、だしの量も茎に近い部位と比べると、取れる量は少ないです。
天然の真昆布の育ち方については、海面に向かって成長します。(地上の植物と同じ)
養殖の真昆布の育ち方については、海底に向かって成長します。(地上の植物と逆)
昆布の生態と天然モノ・養殖モノの育ち方について、は以上です。